日本社会に特有な雇用制度としての「終身雇用」が、明確に意識され、学術的な概念として定義されたのは、第2次世界大戦の後、日本社会の再興を目指していたマッカーサーが率いていた占領軍司令部が実施した現地調査の報告が最初であったとされています。米国の学者を中心とした調査団は、当時の日本企業を見て、その根底に、共通する特徴を見出しました。その一つが、米国社会にはない、「一人の従業員が、長期に渡り、特定の企業組織に所属し、キャリアを積み重ねることを前提としている」かのように見えた個々の従業員と企業との関係でした。後に、この雇用制度を、日本社会に特有な「終身雇用制度」と名づけました。
もう一つは、米国社会の多くの企業では、第2次世界大戦が始まる前に、企業に普及していた「統計的品質管理」の思想と、それを生産現場で実践するための、基礎的な統計学の理論を学んだ専門家集団による、統計的品質管理法の導入でした。
占領軍司令部は、これらの認識に立ち、統計的品質管理法の日本企業への導入は、日本社会の経済的再建の鍵であるとの結論に至り、日本社会を代表する大手企業の経営者に対して、「統計的品質管理法」の基礎を理解させるための教育プログラムを準備し、それを実施することに努力しました。このことが、1970年代に入り、日本の製造業が、その製品の品質において、世界市場を席巻する基礎となりました。
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